行政書士試験を受ける前に知っておいてほしい難しさ
テキストを完璧に仕上げても、必ず受かるものでもないのが行政書士試験
行政書士試験に挑戦しようと思ったときの僕は、きちんと時間をとって、毎日、繰り返し知識を積み上げていけば11月の本試験には楽にパスはできるだろうと思っていました。
どういう勉強方法であっても、試験に出ることはテキストのどこかに書いてあることだという風に思い込んでいました。
実際に行政書士試験を経験してわかったのは、行政書士試験はとても難しいということです。
記述試験の採点が合格を左右する
僕自身の結果は、180点のギリギリ合格でした。
当時は、合格すればなんでもいいと思って、喜びましたが、試験直後の自己採点では、180点はなかったのです。
記述の点数が満点に近い数字じゃない限り合格はないだろうと思っていたところへ、合格の知らせが届いたので驚きました。
これはと思ったものに迷わず投資する
行政書士試験の勉強を開始するときに、僕なりに立てた計画は、多少は費用はかかっても合格への最も確率の高い方法で時間を費やすことでした。
40代にさしかかった貴重な1年間という時間をかけるのだから、絶対に失敗しないように、その当時、ネットで検索して最も自分に相応しい通信教材を選んで、勉強をはじめました。
この教材を完璧に仕上げればなんとかなるというのは、思い込み
勉強を開始する前の僕の行政書士試験へのとらえかたは、きちんとやるべきことを1年かけてやれば合格はできるだろうというものでした。
つまり8万近い教材を完璧に仕上げれば、きちんと点数がとれるものだろうという認識でした。
実際、僕は10月の段階で、テキストや過去問も自分なりに完璧に仕上げたといっていいぐらい自信もありました。
本試験の直後は、完全に不合格だと思いました
合格はできましたが、僕の合格はまぐれです。
正直、僕の結果はどちらに振れても文句の言えないものでした。
資格は、結果よければ全てよしの世界ですが、今後、行政書士試験に挑戦しようとしている人の参考になるかと思うので、僕なりに行政書士試験の難しさを語ります。
難易度ランキングの落とし穴
資格の難易度は参考にしないで
ネットで検索すると、色んな資格の難易度が出てきます。
士業だと上位から弁護士、会計士、税理士、司法書士、社労士、行政書士の順が定説です。
だいたいどこでもこの順で、難易度が表現されていて、僕の認識でも行政書士と社労士が入れ替わるぐらいで、ほぼ同じ評価だと思います。
これから行政書士を目指す人の見立てというか、行政書士への認識も同じようなところではないでしょうか。
行政書士の魅力と試験の難易度は比例する
行政書士の資格の魅力は、独立開業ができることです。
また業務範囲が大きいので、資格さえとれば色んなことができる可能性があります。
そういうことからも「行政書士の資格がほしい」と思う人が多いのです。
そして、ネットで試験科目や難易度を検索してみると、上記のような難易度のランキングなんかが検索結果として出てくるのです。
「行政書士の資格なら取れるかも」と思う人が多いのは、このためです。
超難関資格と難関資格という違い
この難易度のランキングが落とし穴です。
基本的に難易度ランキングの上位3つぐらいは、就職前の大学生が第一希望の職種として選ぶ職種です。
弁護士も会計士も、その専門の学校に通わないとなれないものだという理解でいいと思います。
また税理士、司法書士も大学生がダブルスクールで目指すような職種です。
税理士や司法書士の資格も、弁護士、会計士を諦めた人が、順番に降りてくるので、結局のこの4種の仕業は難関資格と言われています。
行政書士を目指す人は年齢層が高い
そういうものと比べると、行政書士や社労士は難易度は高くありません。
しかし、行政書士や社労士を受ける人の多くは、1度は社会人になって、転職やキャリアアップを考えている人、ミドルエイジに相当する人がほとんどです。
僕自身も42歳からの挑戦でした。
それぐらいの年齢でも、もし人生に時間があるならば、やはり弁護士、会計士を目指したいというのが本音です。
しかし、時間には限りがあります。
勉強時間は、平日夜の数時間と、休日だけ。
そういう人が人生を変えるために大きな目標を立てるときに、最も手に届きそうで、届かないところにあるのが、行政書士の資格なんだと僕は思います。
この難易度のランキングは正しいが、参考にならない
それで、この難易度のランキングの情報をあてにして、正しい勉強さえすれば、なんとかなると思ってしまうのです。
僕自身もこの認識で、自分さえしっかり上げれば、試験に対応できると思って、1年間勉強をコツコツしました。
しかし、これは少しだけ認識のズレがあります。
行政書士試験はどれだけ知識を積み上げて仕上げても、対応しきれない部分があります。
テキストを完璧にしても、試験問題が桁外れに難しいと対応できない
記述試験や一般知識は不確定要素が多いですし、憲法、民法はテキストでインプットする内容だけでは対応できない問題が半分以上は出ます。
行政法は比較的、勉強した時間に比例して、点数がとりやすいので、最も注力して、勉強すると思います。
しかし、商法は配点も少ないという理由で意外と勉強時間を疎かにしてしまいます。
もともと商法まで時間がまわらないという現実もあります。
この条件下で、自己採点したときに、記述以外で、180点ないというのが、行政書士試験を終えた直後の人の多くの感想です。
社会人のあなたは独学で挑戦するべきではない
社会人のあなたは独学で挑戦するべきではない
こういった経験と、自らのポテンシャル(基礎学力)も鑑みて、言いますが、行政書士試験は独学では非常に難しいです。
あなたがもし、21歳の就職活動中の大学生なら、独学で挑戦するのもありです。
その年齢の1年、2年は独学で一生懸命勉強することで得られることもあるだろうし、万が一合格できなかったとしても1年間を棒に振ったという感覚もないでしょう。
むしろ若い頃にそういうものに打ち込むことで重ねた失敗で、経験値や自信を得られることができます。
若い人は時間よりも、まだ、お金の方が価値があるかもしれない
また若い頃の10万、20万の自己投資の費用も、30代、40代のものと比べると大きな金額に感じると思います。
学生なら、親に出してもらうという選択もありますが、それでは身につかないというのも色んな自己啓発本で得られる認識です。
若くてまだ人生の時間に余裕のある人は独学で行政書士を目指してみるのもいいと思います。
社会人のあなたには時間より大切なものはありません
先にも言いましたが、行政書士を目指す人の多くが、社会人になって数年働いて、自分改革を試みるような人たちだということです。
彼らの年齢は30代、40代の人がほとんどでしょう。
僕自身も41歳からのチャレンジでした。
その頃の僕はそんなことも考えず(受かると思って)、行政書士試験の勉強を始めてしまいましたが、41歳の1年間を受かるかどうかわからない試験に時間を費やすということは人生的にかなりのリスクだと思います。

まず本当に1年勉強しても人生の時間を無駄にしないか検討してください
そのことは僕の試験結果が180点ギリギリの合格だったということから、考えるようになりました。
つまり合格したから、何事もなく人生をすすめていますが、あの時、もし不合格だったら、精神的ダメージは半端なく大きかっただろうと思います。
それぐらい1年間の勉強にかけていたので、失敗は許されないものだったのです。
一発合格しなければ、本当に意味がない
僕自身は勉強時間を費やせば、必ず合格できると思って、ずっと勉強をしていました。
しかし、実際はこれ以上、勉強時間を増やしても、つまり翌年、再び挑戦しても、試験問題との相性や運もあり、試験結果に大きな差異はないと思います。
一発合格しなければ、本当に意味がないのが、行政書士試験です。
そのために1年前から勉強の戦略を立てなくてはいけないと思います。
講義を聴くというのが王道
専門学校か、通信教材かを選択する
僕自身は通信教材のフォーサイトの行政書士講座で勉強をしました。
とてもわかりやすい講座でしたが、法律の基礎がないので、理解するまで、かなり時間を費やして、とにかく猛勉強でした。
そしてそれなりに知識が積み重なって、自分なりに完成したところで10月に伊藤塾の行政書士模試を受験しました。
その時に、ひょっとして自分は合格できないかもしれないと思ったのです。
惜しまず自己投資をするなら伊藤塾
伊藤塾の行政書士模試を受けて思ったのは、1年間勉強をしてきた僕には法律知識の応用力がまったくないということでした。
通信教材で勉強した僕は、要るするに素直な問題しか解けないということでした。
その模試を受けるまで、僕自身は法律の勉強はインプットとアウトプットが全てだと思い繰り返して過去問を解いていました。
しかし、伊藤塾の行政書士模試を受けた段階で、僕の積み上げてきた自信は一気に粉砕されたわけです。
講義を聴くというのはやはり王道
伊藤塾の行政書士模試を僕は名古屋で受けたのですが、その頃はまだコロナの前だったので、模試が終わった教室で、伊藤塾の講師の方が、模試の解答と解説の講義を1時間してくれました。
その講義がすごく良かったのです。
出題傾向と、問題の解き方、記述試験の書くべきことなど、とても幅の広い法律知識が要求されるのが、行政書士試験だということを知らされました。

高いレベルの講義を聴いてショックを受けた
伊藤塾の模試自体はめちゃくちゃ難しいので、40%もできなかったと思います。
この調子で本試験を迎えるわけにもいかず、その日、帰りに配られた「解答と解説」を持ち帰り、模試の復習をきっちりやりました。
この復習をきっちりやったことが僕にとって良かったのではないかと今でも思っています。
伊藤塾の配布した解説のテキストはとても参考になりました。
伊藤塾の塾生はこのレベルのことをやっているのかと思うと、正直、ショックでした。
自己採点をして、頭が真っ白になる
本試験の出来はまずまずと言いたいところですが、実際に帰宅後、スクール各校の行っている自己採点のサイトで確認したら、記述試験の部分を抜いて、辛うじて160点あるかないかでした。
記述も正解の例文からかなりかけ離れた文章を書いたので、ひょっとしてダメかもしれないと、家族に弱音を吐いたのを覚えています。
その時、行政書士試験の難しさをしみじみと痛感しました。
もう少し勉強すれば良かったと思ったのと同時に、来年もう一回は出来ないから、今回ダメだったら諦めようと感じました。
成功体験を一つ得ることで自信になる
翌年の1月の月末に結果は発表されました。
インターネットで自らの受験番号を見つけたときは、本当に喜びました。
これはすごい成功体験だと思いました。
同時に、その時、思い切って自己投資した自らの行動に間違いがなかったと思い、とても満足しました。
一番確率の高いところに惜しむことなく投資するべきです
おそらく僕の人生には、この先、こういう風に難関資格に挑戦することはないでしょうが、自己投資の名目で、何かにチャレンジすることはあるかもしれません。
その時は、迷うことなく金額の大小より、自らの持ち時間により大きな価値を置いた判断をしたいと思います。
もしこれから行政書士試験に挑戦する人は、ぜひ、自分はこれからとても難しい試験勉強をするという、大きな心構えを持って欲しいです。
そして、法律を勉強するということは人生においてもとても大事な時間になります。
きちんと投資して、最も自分に相応しい形で、試験勉強に挑んでください。

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