認知症の母の徘徊への対応策
認知症患者の症状としての徘徊
認知症の母が、毎朝、デイサービスのお迎えを家で待てずに団地や県道をうろついているという話はヘルパーさんから聞いていましたが、ある朝、ついに母が見つからないと職場に電話がきました。
その日は結局、母は県道をデイサービスへ行く荷物を持って歩いていたということで事なきを得ましたが、その日にケアマネージャーさんから母にGPSをつけて欲しいといわれました。
以下の記事で認知症の母の徘徊について書いています。

様々な位置情報サービスの中からAirTagを選びました
色々と検討した中、僕はGPSではなく、Appleの位置情報サービスAirTagを母につけることにしました。
AirTagは基本的には自身の持ち物に取り付けるべきもので、人に対しては非推奨のものですが、こと母のような認知症の患者にはAirTagを取り付けるのが、非常に有効だと感じました。
GPSは認知症患者に持たせることが難しい
本来なら、GPS端末を母に持たせるのほうが、リアルタイムの位置情報もわかるので、ケアマネージャーさんも含めて誰もがGPSの有効性を説きましたが、GPSを持たせて理想通りの働きをするのは、子供までです。
認知症の人間と毎日、暮らしている僕の意見として、認知症の母にGPS端末を外出時に持たすことは不可能です。
GPSを忘れずに持って外出できる人間はそれほど心配はいらない
ましてや、母が一人で外出するのは僕が何らかの理由で留守にするわずかの間です。
その時の母の心境は不安なのです。
母は不安なので、外へ出て、その不安の解決を求めて、団地を歩き、県道へと向かうのです。
その心境の母が、外出するときに、その端末を持つことを考えるでしょうか。
GPS端末は決して小さくない
カバンに入れておけばという意見もありますが、カバンを持って出かけるようなことが習慣としてない母には有効ではありません。
GPS端末は思っている以上に大きいです。
ルパンが使うような小さな発信機のようなものであれば、いいのですが、残念ながら昔のポケットベルぐらいの大きさはあります。
AirTagが最適だと思った理由を語ります
何より機器(AirTag)が小さくて軽いのがいい
認知症の人に位置情報の機器を持たすということを考えたら、最もそれに見合うものはAppleのAirTagしかないと思います。
AirTagはとても小さくて母の身の回りのものに忍ばせるのにちょうどいい大きさです。
また軽いので、服装のポケットなどにも入れられるので、いいです。
母がどんな格好で出かけようとも何か一つは持っている状態をつくる
僕自身は、AirTagの 4pack を買い、母のカバン、母のダウンジャケット、母のデイサービスへ持っていく着替え入れ、あと臨機応変にとりつけれるようにフリーのものを一つと、AirTagを4つ作り、母に取り付けました。
これは非常に攻を制して、毎日、出かける時、母は何からしら身につけているので、職場からも母がどこにいるかがわかるので、少なからず安心できます。
デメリットはもちろんあります
一方で、AirTagの位置情報の反応は、GPS端末のそれとはおそらく大いにひけをとると思います。
AirTagはGPSのようなリアルタイムの位置情報ではないのと、AirTagの付近にiPhoneの利用者がいないと位置情報が確認できないという弱点があります。
例えば、母が田んぼばかりの畦道を歩いていたりしたら、おそらく位置情報はその前までにいた場所でiPhoneの近くにいた場所になります。
なので田舎での効果はあまり期待できないかもしれません。
それでもiPhoneを持っている人は多いので、田舎に住んでいてもある程度、反応します。
AirTagの性能と使い方を知っておく
そういう意味では、万が一、認知症の患者がいなくなったときに位置情報を見てすぐにその場所に駆けつけるということはできないかもしれません。
それでも最終の位置情報は示されるので、探す手がかりになると思います。
どちらにしても認知症の方の一人歩きは万全を尽くした上でもやはり起こり得るので、どこまで対策を尽くすかということと、ある程度のリスクを受け入れた上で、日常を一緒に過ごしていると思うので、そこはあまり深く考えずに、とりあえず位置情報をつけておく、ぐらいの感覚でいいのではないかと思います。
他社製品の位置情報のタグも多くはiPhoneの通信網を使用している
Amazonなどでは他社製品で、位置情報のタグは売っています。
売っていますが、基本的にはiPhoneの通信網を使用するサービスなので、効果と性能はAirTagとほぼ同じだと思います。
価格で検討するならAirTagじゃなく他社製品のタグでもいいかと思います。

GPSサービスの大きなデメリット
認知症等高齢者GPS端末貸与事業
母にGPSをつけてみてはどうかという話をした翌日、ケアマネージャーさんからGPSに関するたくさんの資料をもらいました。
「認知症等高齢者GPS端末貸与事業」といって市の方でも補助が出るので、その申請書と費用についての用紙が入っていました。
セコムのGPSサービスのココセコム
ケアマネージャーさんが薦めてくれたプランはセコムのGPSサービスのココセコムというものでした。
加入料金と充電機器などは市が負担してくれますが、月額料金は利用者が負担します。
月額1,200円をどう捉えるかはわかりませんが、僕自身はこの価格に見合うものを得られないと思いました。
最短でも3年以上継続して加入という縛り
僕自身がこのGPSサービスの利用の提案を受けて感じたのは、少し大掛かりな契約になるというところです。
契約に際しては、いくつか縛りがあります。
最短でも3年以上継続して加入しなければならないというのと、機器を紛失したら新たに負担をしないといけないというのがあり、けっこう惰性で契約をしていることでリスクがあるものです。
GPS端末をどうやって認知症の患者に持たせるか
もう少し機器が小さくて、認知症の母に取り付けれる性能がすぐれていたら、契約にこういう縛りはあっても、現在の多くの流通しているGPS端末では、認知症の対策にはなりません。
唯一、毎回同じ、カバンを持って出かける認知症の方に対しては、有効だと思いますが、うちの母のように大きく認知症の進行が進んだ中核症状のある患者には大きな契約を結ばないといけないGPSは介護する側の負担になるだけなので、本当に必要な契約なのかどうか考えてみてください。
AirTagはとりあえず位置情報をつけてみたい人に有効
そういう意味でも、認知症の家族にとりあえず位置情報をつけたいという方には、まずはAirTagを試してみたらいいのかと思います。
1つでも2つでもいいし、4つセットで買ってもいいと思います。
僕は4つセットで買いましたが、3つでよかったかなと少し後悔していますが、まあ、大切な家族のことなので、これはこれでよかったと思っています。
認知症の患者は日々変化していく
また、そうこうしているうちに認知症の患者は変化していくので、さらに悪くなり徘徊しなくなったり、症状が治ったり、別の問題が生まれたりするので、やはり上記のGPSサービスの3年以上の縛りは許容できない契約だと感じます。
こういうことを経験する度に、社会や企業は認知症のこと、認知症患者のことをもっときちんと知って欲しいと思うこの頃です。
コメント